大塚酒造・酒にまつわる話

酒造りの条件

 酒造りにはいくつかの条件が必要です。
 まず、水です。酵母の生育に必要な成分のバランスよく含まれて、有害成分が無いということが条件です。有名な話で、山邑太左衛門が、西宮郷と魚崎郷の2カ所の酒質の差を、水を取り換えることによって、西宮の「宮水」の酒造りに適していることを発見したというものがあります。 有用成分としては、カリウム、リン酸、カルシウム、クロール等があり、これらは、麹や酵母の生育を進め、麹の酵素が溶け出るのを促進させます。有害成分には、鉄と、アンモニア、亜硝酸、有機物があります。鉄は、酒の色が黄色になり、その他は、水が汚れている証拠です。

 次は気候です。酒は、15度くらいを最高温度とする低温で醗酵させなければなりませんから、なるべく寒い気候が条件となります。また、寒いほうが、雑菌の繁殖が少なくて雑味の少ない酒ができます。ですから、酒の銘醸地は寒いところが多いのです。

 そして米です。良い酒米の産地には名酒があります。山田錦、五百万石、美山錦等々各地に多くの優れた酒米があります。酒米の特徴は、大粒であること、心白があることです。

 最後は技術です。冬に雪が多くて、出稼ぎしか仕事のなかった農村の伝統的職業の一つが蔵人の仕事でした。(酒を醸す工人を、蔵人といい、そのトップを杜氏といいます。)親から子へと、数百年にわたって続いてきた酒造りの仕事は、時間の流れの中で、その技術を磨き、蔵人の産地を形成してきました。

 しかしこのすべてが満たされなくても、良い酒は出来ます。たとえば灘は、気候は必ずしも良いとは言えませんが、その他の、宮水、山田錦、丹波杜氏という、それを補って余り有る好条件を持っていますので良い酒が出来たのです。