大塚酒造・酒にまつわる話

酵母の話

 酵母は文字通り酒の母です。明治のころは、麹と酵母が同じものと考えられていましたが、それぞれが違う生物であることが分り、研究が進みました。

 酵母の多くは、現在日本醸造協会で培養されたものが全国の酒蔵に配付されています。以前はいわゆる家付き酵母といった、その蔵に住み着いている野生酵母が自然に増殖して醗酵が行なわれていたのでしょう。酵母が突然変異をおこして、ごくまれですが大変おいしい酒ができることがあります。国税局に鑑定官室という組織があり、ここにいる鑑定官が、全国の酒蔵の中からそうした酵母を採取し、それを純粋培養して全国の酒蔵に頒布するようになりました。そのようにして長野県の眞澄で発見された、7号酵母などは、一時全国の酒蔵の97%が使用するくらいに普及しました。最近は、色々な技術で、偶然の突然変異を待つのではない、新しい酵母が開発されるようになってきています。長野県が平成9年春の鑑評会で受賞場数全国一となった一因である、長野県のアルプス酵母もそうしたものの一つです。それにしても、純粋培養した同じ酵母を使っているのに、出来上がる酒の味がそれぞれに全く違ってくるのは面白いものです。また、最初は購入した酵母を使用したのにもかかわらず、醗酵終了ころの酵母を調べると全然違う酵母が繁殖しているといったこともあるそうです。

 有名な酵母には、昭和10年に秋田の新政で発見された6号(杜氏は鶴田さんという人でした。)、そして昭和21年に、上記の眞澄で見つかった7号、昭和28年に熊本の香露で見つかった吟醸酒用で有名な9号などがあります。601号とか701号といった酵母は、それぞれ6号7号の泡のでないタイプの酵母です。ちなみに、1号酵母は、正宗の元祖桜正宗で採取されたものです。